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2022年6月 9日 (木)

個人の現実の複雑多様性と、それに対する援助の仕組み

新型コロナウイルスによる病疫の蔓延により、仕事と収入を失った中小企業や個人事業主を支援する給付金制度の悪用で、巨額の詐欺事件が発生している。ひとつは、詐欺犯罪のベテランのような犯人がついにインドネシアで捕まり、もうひとつは、なんと、税務署職員が犯人だ。

でも、犯人たちのこの顔ぶれを知ってなるほどと思うのは、この制度の複雑性と単純性だ。複雑だから界隈の一般庶民や零細企業には対応が難しいが、こんな助成制度の仕組みをよく知っているベテランにとっては、認可のための条件を偽造等により簡単に多数揃えて、犯行を比較的簡単に大量複製していける。だから、合計の総犯行額はあっさりと巨額になる。

何が“複雑”か、受給応募者が揃えて提出すべき必要書類の部分で見てみよう:

1)本人証明(マイナカード、運転免許証など)
2)確定申告(数年ぶん)
3)事業業績データ(売上台帳など、数年ぶん)
4)入出金推移データ(銀行の通帳、数年ぶん)

これらは、犯行に慣れている人にとっては、偽造とその大量コピーの作成が簡単にできる。しかしところが、現実の個人事業主や零細企業主にとっては、偽造はもってのほかであるし、しかも本物のデータを揃えることがなかなか難しい。とくに上の3)と4)が難しいし、2)もひょっとしたら難しいだろう。経理事務を毎日毎年きちんとやっている個人や零細企業主は、なかなかいない。

つまり、この給付金の仕組みはユーザーにとって義務が過重で不親切であり、大量犯行を狙う犯罪者にとっては単純で便利だ。

実は、かく申すこの私(岩谷宏)も、これまで翻訳作業を提供してきたTechCrunch Japanというテクノロジー系のブログが3月いっぱいで突然廃刊になり、突如、無職無収入になってしまった。私のような高齢者にとって、次の仕事なんて、そう簡単にはない。しかも私は無年金者だ。そこで国の救済事業を探したのだが、上記のように、自分の経理データをきちんと提出できるもんでないとだめ、と分かった。そんなデータが完全にきれいに揃ってる個人って、世の中にそんなにいない!っちゅうの!。

困り果てていたところ、ロッキングオン時代からの“生けるメディア”橘川幸夫氏が、私の過去の未発表稿のための有料マガジン を、ネット上に素早く作ってくれた。最初それは、「70年代ロック英語辞典」という特集記事でスタートした。毎月の購読料が1000円だが、それぐらいふところに余裕のある方は、ぜひご援助願いたい。

また、犯罪防止のためには、本人性(identity)の偽造や同一個人同一企業の複数回応募を防ぐことは、今でもできるはずだ。そして遠い将来的には、マイナンバーカードはマイデータカードにレベルアップすべきだ。

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ついでながら、世帯向け給付金では例の4360万円の件ですが、だいたい、1世帯ないし1個人に行くはずのない金額を、そんな金額の入力と出力を、なんでソフトウェアシステムがチェックせず、黙って通してしまうねん? 当たり前のI/Oチェックをしてれば、あり得なかった事件でしょう、これは。このかんじんの問題を、どっこのマスコミも取り上げないのは、なんでやねん? そんな根性じゃ、類似事件が今後なんぼでも起こりまっせ!

 

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コメント

4360万円の件で私も同じことを疑問に思いました。なぜ通せてしまったのか、と。

今からでもいいので、取り上げて欲しいですね。

投稿: 高柳俊彦 | 2022年6月 9日 (木) 19時40分

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