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2020年3月21日 (土)

後ずさりする犬

動物を扱ったメディアコンテンツはずっと敬遠している。理由は、動物園に対して否定的である理由と共通している。一言で言うとそれらは、動物様に対する他者不在の態度だ。

そんな私が、たまたま最後の20分間を見たNHKの1時間番組を全編、お金を払って見てしまった。「NHKオンデマンド」で見られる「南極タロジロ物語」だ。

犬ぞり牽引用に連れて行った樺太犬10数頭を極寒の南極にほぼ12か月置き去りにした事件は、昔も今も「ひでぇ残酷の動物虐待」という感想しか持てないが、今回関心を持ったのは、奇跡的にその12か月を生き抜いた2頭と、再度訪れた研究チームの人間とのコミュニケーションレベルの関係だ。

私が大嫌いなメディアコンテンツ、この場合は商業的劇映画の中では、犬たちは、自分たちを世話した犬係の担当者に、大喜びで飛びついたらしい。そんなシーンはやはり、動物園的なてめぇ勝手な動物観に基づいている。

でも、それは大嘘だった。その犬たちは、1年ぶりにやってきたその人物が自分たちに接近しようとすると、警戒の唸り声を上げながらどんどん後ろへ後ろへと引いて行った。1年間、食べ物もくれずに寒さの中に自分たちを放置した人間が、嬉しそうな顔をした近づいてくる。なんだろう?これは?。

不可解で怪しいから、接近されると身を引いていくしかない。何だろう?この人間は?。今度は自分たちに、何をする気か?。実はNHKのその番組には、その肝心のリアル・コミュニケーションの場面はない。あとからさらに調べて、わかったのだ。

でも、樺太犬って本当にかわいい。顔はハスキー(シベリアンハスキー)と秋田犬を足して2で割り、体は毛深く毛むくじゃらにして、体重40-50kgとでっかくしたのが、樺太犬だ。今や純血種は皆無で、いわゆる絶滅種らしい。ハスキーのかわいさと、秋田のかわいさを「足した」かわいさではなく、「掛けた」大きさと豊かさのあるかわいさだ。

それを(南極でもーれつに役に立った彼らを)零下40-50度の極寒と飢えで殺してしまうなんて、私の神経には絶えられない残酷だ。彼らは、後にも先にも、救出する工夫をしていない※。いや、そもそも、最初から放置しない工夫もしていない。

※: 犬たちを放置したままの撤収が2月24日だから、南極の冬の再来までまだ数十日はある。その間、外国の装備の協力を求める方法もある。費用は、政府予算がどうしても無理なら※2、大声でスポンサーや寄付を集めまくる方法もある。何もせず、まる12か月放置は、どう考えても馬鹿げているし、愚鈍な超残酷だ。

※2: ボランティアの動物愛護団体「カラフト犬を見守る会」の会長、成瀬幸子さんが救出を文部省に何度か陳情したが、無駄だった。ちなみに、このお話で女性が登場するのはここだけ。


人間の、動物に対する、他者不在の態度。それは、あまりにも安易な、残酷に結びつきやすい勝手な態度だ。それは何よりも人間に、歴史的不幸をもたらすだろう。度重なる新種ウイルスの来襲が、人類滅亡の兆候でなければよいが。

 

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コメント

単なる残酷を美談にする

その暴力的鈍感さ。

ほかにも沢山あると思います。

投稿: 南 | 2020年3月24日 (火) 06時54分

犬の気持ちを微塵も考えないという、信じがたい残酷。ひでー話じゃ。

投稿: bad | 2020年3月28日 (土) 18時36分

> 信じがたい残酷
他者不在(==ノー・シンパシー)は、すべて残酷ですよ。問題はそれが、今の人間社会のメインのベースであること。人類は、滅ぶ可能性もある、という気がしますね。

投稿: iwatani | 2020年3月28日 (土) 19時11分

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