セクシーなピアノ音楽Natalie Schwamova
現状のインターネットはご存知のとおりの惨状だが、そもそもBBSの時代からネット上にはアホな日本人が蔓延している。アホの原因の一番目は、ひとの言葉をその人の真意で理解しようとせず、自分の解釈のみを是として責めたりすることだ。
言葉を発言者の真意で理解しようとすれば、オープンな態度での対話や会話、その積み重ねを必要とする。コミュニケーション不能・他者不在の旧人類のもっとも深刻な欠陥が、対話性/会話性の不在だ。対話と会話の手段であるはずのインターネットが、そうなっていないから、惨状が蔓延する。また今のインターネットの圧倒的に多い使い方であるWebには、管理機能がほぼゼロだから悪用も蔓延する。
で、セクシー、sexyという言葉は、最近ではいろんな人がいろんなニュアンスで使うようになった。それらの中には性とは無関係な含意も多い。でもそんな使い方でさえ、わざわざsexyという語を使うのは、性は本当はすばらしいものである、という無意識の認識が背景にあるのだろう。
そしてチェコ出身のNatalie Schwamova(ナタリー・シュワモヴァ)のピアノ演奏は、性的と非性的の両方の含意でセクシーなので、ご紹介すべくここに記事を書いている。その感覚をもたらしている最大の原因が、フレーズとフレーズの間に入るとても短い、自然な、そして本来のリズムを外さない「ため」にある。凡庸な音楽評論家なら「ルバート」の一語で片付けてしまいそうだが、ルバートのように長くなく、重要なのは、作為性がないことだ。その自然な、おそらく本人も無自覚な(彼女の気持ちでは音楽表現上必須な)「ため」で、これまでの西洋クラシック音楽の演奏になかったビート感を音が持ち、聞き手に独特の快感を与える。セクシーの、すべての含意の。
本人が自分の名前のYouTubeチャンネルを持っていて、動画もたくさんあるが、初めての方にはショパンの英雄ポロネーズ
やソナタ3番 がおすすめ。だんだん存在理由を失って、つまらないものになりつつある西洋クラシック音楽に、新しい生命と意味を与える演奏かもしれない。近年、女性ピアニストの演奏は徐々にそういう新しいタイプの表現になってきてるようだ。
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