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2018年12月 3日 (月)

社会病理学の研究方法

このところ出てくるのは、将来の課題ばっかしで忸怩々々だけれども(世界司法世界福祉もその一つ!)、小林久隆博士の、ノーベル賞を100あげてもおかしくないぐらい※のすごい発明は、ご本人が11年あまりも臨床経験(現場の医者としての経験)をされたことが生成の基盤として大きい、という気がする(化学療法や放射線療法で苦しむ患者を数多く見ている)。だいたい、多くの分野で、優れた基礎研究のためには研究者の少なくとも5年以上の、現場体験が必要ではないだろうか。〔※: ご本人は、大事なことはノーベル賞受賞者にならないこと、と仰ってるらしい。〕

しかし、フィジカルな病気というものには、いろんな意味でも「わかりやすさ」という利点がある。患者自身の苦痛や苦悩はもちろん、まわりの人間、まわりの社会全体としての大きくて明瞭な既知性がある。

ひるがえって、人類のコミュニケーション不能という社会的病理、そのものすごい量と質の悲惨残酷の積み重ねに関しては、その既知性はどうだろうか? 世界中のほとんどの人に、それが重大な病理であるという自覚はなく、戦争などの現場体験者においてすら、真の問題の認識はない。貨幣に関しても、貨幣自身を問題視するのではなく、自分(等)に貨幣(お金)がないことが問題だ(正しくない問題把握)。悲惨残酷は今なお、大小さまざまな規模で繰り返されているし、近未来遠未来においても繰り返されるだろう。

コミュニケーション不能は、ほとんどの人間がそれをまだ病理として自覚していない病理だ。一歩その深部へ突っ込んだ「他者不在」という伝統的脳不全現象においておや。

そういう、現状、どうしようもない分野における、有効な研究開発の方法は、なんだろうか?

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コメント

何らかの社会実験ですかねぇ。

イメージは沸きにくいですが、思考実験するゲームのようなものか??

投稿: 南 | 2018年12月 3日 (月) 16時15分

とある地方都市で「脱カスタマー」というのを選挙公約の1つにしていた候補者がいて面白いと思ってました。また、書物の中には「prosumer」なんて言葉も出てきているし、作る人とそれを消費する人の境が曖昧になっていくと(消費する人も、作る人と関わったり、作るのに関係する)少し新しいでしょうか。

投稿: hiroaki | 2018年12月 4日 (火) 23時06分

>「脱カスタマー」
そんな考え方や実践が、徐々に広まると良いですね。この考え方が社会に充満すると、情報産業および技術の大革命が起きるでしょう。

投稿: iwatani | 2018年12月 5日 (水) 07時56分

..新品の財布が届いたら中に五円玉が入っていた。カネ(貨幣)に対する信仰だね。「カネが途切れませんように」「カネがあれば大丈夫」

投稿: n,s | 2018年12月 9日 (日) 02時15分

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