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2018年6月11日 (月)

コミュニケーション論の骨子…「他者不在」、人間のレベルでそれは「貨幣関係」

このブログや、その先駆的エッセイ集で展開されているコミュニケーション理論のいちばん中核的な概念が「他者不在」です。それは、ヒトのアタマやココロの中で、他者がきちんと他者として認識確立されてない状態を指します。他者がいなければ、他者とのコミュニケーションもありえません。この不在状況は、今日まで何万年何十万年も続いています。

他者不在の分かりやすい(と思われる)例として、ここではよく動物園を挙げるのですが、確かに動物園は、人間による動物の一方的拉致です。人類がコミュニケーション有能な生き物となった未来においては、動物園は廃止されているでしょう。

他者不在は人間の社会と生活の(そして学問や産業の)あらゆる局面にありますが、中でもいちばん強力でおそろしい他者不在が宗教です。宗教は絶対者/超越者という観念的存在(他者)を、各共同体などが恣意的に解釈した、その解釈の体系です。宗教は、神の動物園です。恣意的解釈なのにでも神は神(絶対者)だから、一つしかないはずの神がほか(他宗教)にもいろいろあることは矛盾しており、許されません。そこでよく宗教は、大量人殺しの動機になります。

人間はすべからく、宗教を取(と)っ払(ぱら)って、ただの人同士になることがコミュニケーション有能化への前提として重要です。

また人間同士の普遍的な他者不在関係が、貨幣(お金)のやり取りです。その関係においては、目の前の人間が人間ではなく、貨幣という価値交換ネットワークの個々のノード(節)になってしまいます。しかも貨幣の価値は「持てる/持たざる」の格差ですから、その構造の最下部に大量の貧困層/限界層を必要とします。貨幣社会は、永遠に過酷な格差社会です。

お金の所有差や収入差のない無格差社会を想像してみてください。そこでは、お金はお金としての価値を持ちません。そんなものは、空気や(日本などにおける)水と一緒で、交換財になりえない。貨幣が価値を持つのは、それがありがたい(有り難い)もの、なかなか得られないもの、すなわち希少性==格差性を持つからです。

今、何百万人という規模に達してしまった難民たちへの国連などによる配給努力や、各地の無名なボランティア努力などは、目の前の人間が「金を持ってるか」という他者不在的認識ではなく、人間そのものとして、どんな状況…助けを必要とする状況…を抱えているかに基づいて、食糧や医療などベーシックな資源の分配をしている。日本も、減反後の広大な不使用農地を、これ以上荒廃させない努力が必要ではないか。

農業は自然という巨大な他者とのつきあいだから、貨幣価値というファインダーの中に見えるものがすべて、という典型的な他者不在の視点は危険だ。…たとえば、災害に弱い地域社会作ってしまう。


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コメント

しかし カネや貨幣がなくなると いい品しか生産されなくなる 悪い物をつくる意味がなくなる とは楽天過ぎる考えかな。

投稿: n,s | 2018年6月12日 (火) 04時27分

力で成立する社会ではなく、気持ちで成り立つ社会。ヾ(´ε`*)ゝ

投稿: | 2018年6月12日 (火) 07時13分

「お客さんに頭下げてるんやない、銭に頭下げてるんや」


という思想の180度転回。

コペルニクス的転回。


狂気の自覚。

投稿: 南 | 2018年6月12日 (火) 07時14分

世界のあちこちで起こっている、宗教的対立が原因の暴力。東洋の片隅でぼ~っとしてるあたしなんかには、なんで「宗教ごとき」で殺さなきゃならんのか、さ~っぱりわかりません。
「貨幣社会は、永遠に過酷な格差社会」ほんとよねぇ。あたしなんかもう老いて死ぬだけだからいいけど、まだ若いひとたちにこれからどんな茨の道が待っているのか想像すると、ため息しか出ないわ。
だから、あたし最近は飢え死にしない程度しかお仕事しないで、なるべくお仕事は若いひとたちに回してあげるように配慮してるの┐('~`;)┌。若いひとに何か訊かれたら、親切に教えてあげようと思ってるけど、誰も訊いてくれないの。つまんないわ。

投稿: 辺境のはだかでぶうさぎ | 2018年6月12日 (火) 15時13分

>気持ちで成り立つ社会
気持ちで働いている人達を写したり、気持ちと気持ちを繋ぐためためのメディアが欲しいと思う。 気持ちを強く具現化・可視化できるようなメディアが欲しい。

投稿: n,s | 2018年6月15日 (金) 06時26分

う~ん、伝書鳩からインスタ等々まで、すでにいろんなメディアが存在するんだから、ようは使い方次第じゃないのかな。
例えば、ご自分の地域をより活性化したいなら、ネット上だけであれこれやるんじゃなくて、具体的にご自分が動いて、それを動画サイトに上げたり、有効な方法はいくらでもあるはず。
あとは…ご自分で知恵をしぼってちょ!

投稿: 辺境の肥満兎(←ひまうさぎ、と読んでネ) | 2018年6月15日 (金) 09時18分

「貨幣のない世界」、正直言うと想像し難かったです。多分、歴史上どこにも存在しなかったから。
「貨幣関係」は人間から尊厳を奪い、その状況を固定する。じゃあどうすればいいの?
自分に問いかけている毎日であります。

投稿: 佐藤 | 2018年6月16日 (土) 22時58分

 全てがB動機ではなくC動機で成り立つ社会には、貨幣はあり得ない。そして、そこにこそ他者が在る。

 その社会こそ真の社会であり、われわれは未だほんとうの社会を知らないのだ。

 他者が他者としてきちんと遇される社会、ほんとうの社会は、コミュニケーションによってのみ成り立つ社会だ。

 いきなり貨幣を廃却するのではない。そうではなく、コミュニケーションのなかで貨幣が消滅していくこと、他者が「実在する」と貨幣が不要=「不在になる」ことを、コミュニケーション論の一節としてここに示したい。

 

投稿: 市川智 | 2018年6月27日 (水) 14時59分

お金要らん圏、お金邪魔圏が、徐々に、じわりじわりと広がる、というイメージです。

投稿: iwatani | 2018年6月27日 (水) 21時04分

> いきなり貨幣を廃却するのではない
> お金要らん圏、お金邪魔圏が、徐々に、じわりじわりと広がる
なるほど!!それだとイメージしやすいです。
お金要らん圏がじわりじわりと増えて、ある日、かつての共産圏崩壊のときのように、パタパタと貨幣がなくなってしまう、と想像すると楽しい気持ちになります。私もお金要らん人種だと思います。
少し話は変わりますが、
東京目黒区の、胸を塞がれるような思いがする女の子虐待死事件、「貨幣のない世界」では起こり得なかったと思います。

投稿: 佐藤 | 2018年6月28日 (木) 21時07分

虐待もいじめもいくらやめろ!と言ってもやめないんだよな。

投稿: bad | 2018年6月30日 (土) 22時43分

私は1965年生まれで、私の時代にもいじめはありましたし、虐待は?、あまり聞いたことがありませんが、もしかするとあったかも知れません。
最近の虐待やいじめは、何と言うか、剥き出しですね。
子どもの社会は、大人社会の反映だと思います。

投稿: 佐藤 | 2018年7月 1日 (日) 23時21分

>コミュニケーションのなかで貨幣が消滅していくこと
名言だと思います。クリアーになったと。けど今の自分はさほど貨幣の有無にこだわらなくなった。とにかく現実的でない。もっとマインドの問題じゃないかと思いますね。

投稿: n,s | 2018年7月 3日 (火) 07時44分

最大宗教 貨幣教
① 貨幣がないと生きていけないと思い込んでる
② 貨幣の価値基準が超越的で正しいと思っている
③ 労働は貨幣を得るためだと思っている
④ 競争は極々当然だと思っている
⑤ 金利というものに疑問を持たない
⑥ 貨幣無しの世界・社会・生活が想像できない

貨幣=人類を支配させる最大のツール  

投稿: n,s | 2018年7月 7日 (土) 07時54分

アップしてすぐに思ったのだが、貨幣を克服するには、自分自身(各個人個人)がそれに資する素質を持っているのか、厳しく問うていかなけれはならない。批判するだけってのは大バカ野郎である。  (もしそれがなければ、従順に黙って生きていくことである) 


投稿: n,s | 2018年7月 8日 (日) 07時00分

貨幣教信者の症例。

A 「カネがないと生きていけないー」
B 「カネがあればなんでもできるー」
どちらにも他者がいない。自分しかいない。
究極には
A 「こんな世の中死んでやる」
B 「カネしか信じるものがない」
孤独一直線である。
         おあとがよろしいようで。

投稿: n,s | 2018年8月 2日 (木) 07時58分

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