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2017年12月 9日 (土)

×第九○ペール・ギュント

Alle Menschen werden Brüder
(All People Will Be Brothers)
(すべての人が兄弟になる)
これはいまどき、むなしい言葉の代表格なので、歌うこと自体、こっ恥(ぱ)ずかしいだろう。

そこで第九に代わる年の区切りの音楽として、イプセン脚本、グリーグ作曲になるペール・ギュントをお薦めしたい。

これは、「オトコの零落」の物語である。主人公は19世紀半ばの、初期的な(個人事業主としての)グローバルビジネスマンとして世界をまたにかけるのだが、最後には老いて零落し、完全な「無」、「空」(くう)、「零」(ゼロ)となって、一寸先も見えぬsnow blindの中、故郷の村に這うようにしてたどり帰る。

小さな粗末な小屋に一人、彼を慕い続けた少女(今は老婆)が待っている。このヒロインが、この作品の象徴的/理念的存在なのだが、彼女によって、主人公は今の「無」「空」「零」こそが真実の自己であることを悟る。2時間弱、音楽だけだと90分弱の本作で、最後の5分間に深い肯定性が満ちる。

このヒロインが、村人(共同体の成員)でなく、移民であることも重要なモチーフだろう。いまどき、まさに。

オトコが完全に零落し、単なるタダのヒトになる。そこからのみ、肯定性が芽生える。もちろんコミュニケーションの芽も発芽し育つ。これからの全世界の、年越しの曲にふさわしい、と私はせつに思う。

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コメント

身に染みる話です。家族なんかも時が経てば結局離れ離れになり、ヒトリになった時にやっと周りの事が見えるようになる気がします。

投稿: musataro | 2017年12月18日 (月) 06時11分

「ペール・ギュント」は以前にもこちらのブログで言及されていて気になっていました。
あらためて、Solveig's songは良い曲ですね。
最終曲、Solveig's Cradle Song、ジョン・レノンが子供の頃、自分のために子守唄を作っていたというのを思い出しました。

投稿: sato | 2018年1月 8日 (月) 20時08分

今年の新年会の基調講演の中で気になった言葉。
「企業やその社員が目指すべきは公の精神の実現である」
「公の精神」とは、「喜び、お客の笑顔、地元経済の活性化」等を指すらしい。
これだけ世界の密度が高くなり余白や余地というものが無くなると、「私」ばっかりが主張すれば衝突しか生まれなくなるのは必然である。
どうか公の中で私の喜びや楽しみが、生かされる意識・仕組みが持てないかと思うね。
極論すれば、「世界に不幸がある限り、私は幸せにはなれないのである。」  なんちゃって、おじさん。

投稿: n,s | 2018年1月19日 (金) 04時32分

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