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2016年6月27日 (月)

未来はDependenceにあり

イギリス独立党のファラージというおっさんは「イギリスのトランプ」みたいなオトコで、“6月23日を独立記念日(Independence Day)にしよう”、なんて脳天気をわめいていた。

今、投票やり直しを求める請願(陳情)に署名が300万集まっているというが、その根拠の一つが「正しくない情報のもとで投票が行われたこと」。その犯人の一人が、ファラージ氏だ。真っ赤な宣伝カーに、嘘八百を大書していた。

20世紀までの独立は、主に、植民地主義という名の搾取からの解放だから、完全に肯定的な意味があった。21世紀になった今も、たとえば、沖縄は独立が欲しいだろう。

EUのような組織は外部搾取者ではなく、あなたも会員の一人であるところの会員組織だから、“独立”の語を用いるのはふさわしくない。自分も構成者なのに、ひとごとのように言うのは、愚か者の証拠。

ところでうんと初期の初期のLinuxは、アプリケーションのインストールは完全にユーザーがやっていた。それがだんだん面倒で難しい作業になってきたから、ディストリビューションが用意するパッケージングシステムが徐々に発達してきた。

それは、個々のソフトウェアが抱える“依存性”(dependencies)が、ものすごく多様複雑になってきたからだ。一つのソフトウェアが、10も20も30も40もの、他のソフトウェアに依存している。それらのバージョンが一定に揃わないと、正しいインストールはできない。

その、ものすごい面倒を、個人の労力から解放するために、パッケージングシステムが生まれ、成熟してきた。それでもRed Hatの初期のRPMなんか、依存性解決能力が完全でなくて、使うのに苦労した。

そうやってソフトウェアは、事実上のコミュニティ(共同体)になってきた。

国家も、そういう意味での依存性のかたまりになってくると、もはや、軽率に戦争はできない。Independenceではなく、Dependenceにこそ、人類社会の明るい未来はある。

イギリスは依存され、そしてイギリスも他(多)に依存している。そういうコミュニティこそ、国家社会の理想的なあり方だ。

欧州連合(EU)と日本の不戦憲法は、人類の希望である(国家レベルでやることの中では)。それあるからこそ、現代における人間としての生を、かろうじて許容できる。

希望を足蹴にしたファラージらの真の魂胆が那辺にあるのか、イギリス人もそろそろ馬鹿から醒めて、見極める必要がある。困難の真因(犯人)は、EUそのものにあるのではない。

もちろん今のEUも、完璧にはほど遠い。依存性は、みっしりと充実した多方向的相互依存性でないと、安定永続しない。EU自身もルールの抜本的アップデートが必要だ。脱会者の増→組織の瓦解、を招かないためにも。

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この毎日新聞の記事は、運が良ければ向こう1か月はリンクが生きているだろう。「離脱派の主要人物が訴えてきた公約の「うそ」を認め、国民から強い批判が出ている。ツイッターでは「離脱への投票を後悔している」という書き込みがあふれ、英政府に2度目の国民投票を求める署名は350万人を突破した」、という内容。

●決定がひっくり返る可能性は?

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※: 6月28日現在で請願署名は370万を超えている。ロンドンで17歳の女の子が「90歳の人たちが私たちの未来を決めるのは理不尽」と言っている。子や孫のことを考えて投票する器量やインテリジェンスは、多くの人に期待できないだろう。再投票が唯一の救いだな。


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Ubuntu 16.04 LTSのWi-Fiの設定

14.04のときはインストールの過程でWi-Fiのアクセスポイントを設定(ルーターのパスワードを入力)するが、16.04ではインストールを完了後に設定し、その後、ネットアクセスを必要とするアップデートをやらされる。

その設定における問題は、トップバーのWi-Fiアイコンやシステム設定の[ネットワーク]のところで、ルーターのデバイスIDをクリックして出る小ダイアログでパスワードを入力してもだめなこと。システム設定の[ネットワーク]のところでさらに当該IDの[設定]をクリックして出る二段目のウィンドウでパスワードを入力すれば、正常に設定され、Wi-Fiアクセスができるようになる。

ささいなトラブルだが、これが分からないといつまでもネットへの接続ができないので、大問題である。

16.04 LTSは、使用体験記を書けるほどには使い込んでいない。日経Linux 7月号には「16.04 LTSが全部わかる本」という付録がついているが、これもまだ読むヒマなし。

休日のまったくない動物飼育係、みたいな日常なので、なにしろヒマがなさすぎる。

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2016年6月24日 (金)

最恐のモンスター、ナショナリズム

イギリスのEU離脱・残留問題については、やや“勉強”した方だけど、その過程でいちばん強く印象に残ったのは、離脱派の人たちになんら具体的なメリット認識とか中長期的ビジョンがなくて、ただ、国家の権力のEUに奪われている部分をすべて奪還すべしという、実に単純素朴なナショナリズムしかないことだ。移民問題なんて、EUにいるままでもなんとかなる(EUはそれほど柔軟性融通性のない独裁機関ではない)。

最初からそういう問題であったのなら、結果も最初から見えている、と傍観者は早期に悟るべきであった。

残留派が掲げる、さまざまな具体的なイシューに関する議論が、ほとんどないままで投票日を迎えている。彼ら離脱派は、そのレベルの具体的な問題にまったく関心がない。

完全すれ違いの、投票戦である。

この、嘆き節のような記事は、plunge into the unknown、未知への突進、という言葉を繰り返している。しかし上で述べたように、それはないものねだりである。

彼らはただ、自分たちの国の国家権力が最強であればよい、そしたら、自分たちの苦境もなんとかしてくれるだろう、という漠然たるイメージのみ。

強い国家にあこがれるナショナリズムは、多くの場合、大きな長期的災難の序曲である。日本はそれを大反省する貴重な機会を得たはずだが、最近は喉元すぎればで、あやしくなっている。


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2016年6月16日 (木)

彼らはどこまで馬鹿か

不安の時代においてスケープゴートを捏造し、それに乗ずる、という大衆騙しの方法は前世紀にヒトラー/ナチスが用いて一時的に大成功したが、今のアメリカの、あの信じがたいほど劣悪な大統領候補は、今度はユダヤ人ではなくイスラム教徒をスケープゴートに仕立てることによって、大量の馬鹿どもの票をかき集める気でいる。

ヒトラーの場合がそうであったように、その方法が、成功する可能性が高いのが怖い。

ボストンもサンバナディーノも今度のオーランドも、(1)移民や一時入国者ではなくネイティブのアメリカ人が犯人なのに、イスラム教徒の入国禁止を強説する。しかもテロ犯は、少数特殊な“自称”イスラム教徒であり、ふつうの、大多数の、イスラム教徒は彼らの(2)信条や行動内容をイスラム教とは認めていない。…これだけでも、大きな明瞭なネガティブが2つもある。

(1)They are all native Americans, not foreigners from abroad you say you have to ban.
(2)They have nothing to do with the Islamic faith.*

*: たとえば、歴史的事実を見ても、またふつうのイスラム教徒の認識としても、他宗教の信者をイスラム教信者に改宗させようとする、拒否すれば殺す、という教えや慣習なない。もちろん、女性虐待を是とする教えもない。

それが見えずに、簡単にあの安っぽいアホ候補の扇動に乗ってしまうほど、今のアメリカ人の多くは、当時のドイツ大衆なみに、大馬鹿なのか。ならば、21世紀のヒトラーを大統領に選び、滅びへの道を突き進むがよかろう。

参考記事

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2016年6月15日 (水)

なぜ宗教は貨幣をendorseしたのか

私の雑で大雑把な過去の勉強とその記憶から言えば、物やサービスの配布やアクセス性が大中小さまざまなローカル権力構造の恣意性にゆだねられているよりは、それがあれば無権力者でもアクセス性が得られる貨幣の公平性が、普遍神に近いものとして推奨されたのである。貨幣が農村部にも徐々に浸透していく中世初期のキリスト教において。

既存のローカル権力が貨幣のコントロール権をも握ること、また、(差異の階層性を本質とする)貨幣を軸とする別の権力構造(eg. 資本主義)が作られていくことは、当時の宗教者たちの念頭にはない。

なにしろ、世界のあらゆる宗教が(そしてもちろん科学も!)、コミュニケーションについては何一つ考えていないのである。

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2016年6月13日 (月)

You don't have it free, no.

そもそも、同じ市で1日前に起きた、歌手の銃殺事件が、マスコミ上ではどっかへかき消えてしまった。一人よりも50人の方が多いから。あらゆる戦争の悲惨の中で、原爆だけが異様にもてはやされるのと同じ。

銃の保有の自由が社会的利益だというのなら、その利益を得るために支払われているコストに、アメリカ人、アメリカ社会は納得しているのか? 人間は、10人に一人は、とくにアメリカ人は、ないしとくにオトコは、「馬鹿」という名の病人だから、無意味な殺人事件は今後もどんどん起こる。それが、この利益のコストだ。それを支払うことに、合意はできているのか。

擁護派は、全員が銃を持てば抑止できる、というが、その議論はもちろん現実性がない。まやかしである。馬鹿は相変わらず活躍するし、むしろ増える可能性もある(誤射は確実に増える)。だいたいそもそも、銃による防御反撃がタイミング的に間に合わないケースが圧倒的に多いだろう、現実の場面では。

だから、原則無差別の“刀狩り”が、唯一の現実的な政策だ。

ただで得られる利益、というものはない。むしろ、
(内部)経済はつねにそれと同額以上の(外部)不経済を作り出している

There's no free lunch.

このランチの値段は、誰一人買うべきではないほどに、高すぎるのではないか?

NRAにはその1/10でも、負担する気はあるのか?

ーーーーー

あの、これが世界のメジャーな民主主義先進国のしかも伝統的二大政党(の一つ)を代表する大統領候補とは、とても信じられないような、“泡沫候補の化け物”のような人が、フランスには銃規制がある、銃規制は無意味だ、と主張している。この泡沫候補の愚かしい言動をいちいちチェックするのは、よほどのひま人でも難しいが、ここでは言っておく必要がある: フランスなどでは、アメリカのように、ほとんど毎年、しかも多くの場合複数の、銃撃事件が起きることはない。アメリカにおける銃は、かなり前から、異様である。そもそも、前日には同じ市で22歳の女性歌手が銃で殺されている。

(この怪物泡沫候補の問題は、登場原因の一つが、アメリカ社会における(さまざまな意味での)格差の拡大と固着→その結果としての馬鹿の増大、もうひとつが、彼が代表する政党が代表している古典的アメリカ的保守主義が、国内的にも国際的にも今や存在価値/存在意義を失い、党が、陳腐化した無意味な党になっていることにある(もはや中にも回りにもろくな、魅力的な、人物がいない)。)

※: フランスなど一部の国の銃規制は、その実装に大きな欠陥があると思われる。とくに、対隣国出入り関係の部分に。


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2016年6月12日 (日)

人間改造計画(SF的漫談)

1.栄養の摂取と不要物の排泄は、呼吸に統合する。栄養分は空気中の元素から体内で合成する。

他の生物が合成した栄養分をいただくのは、効率的かもしれないが、アクセス性に格差ができやすい。しかもグローバルな貨幣経済の支配が加わると、格差が本質的なものとして組み込まれる(貨幣の価値の正体は格差だから)。人類社会は、ますます悲惨になっていく。


2.繁殖の仕組みを単性生殖(性別役割の解消)へと簡素化し、長年の女性差別女性虐待を完全になくす。

繁殖の役割が若い女性に限定されていると、女性はますますオブジェクト(物財)として取り扱われ、他者としてのリスペクトからは遠いものになる。人類の女性差別女性虐待の歴史(および現状)には、すさまじいものがある(一部ではそれが宗教的文化ですらある)。このところ日本という一国だけでも、その関連犯罪事件が報じられない日がない。


3.地球上の気候の温暖差程度の高温低温を不快(暑い寒い…)と感じない体質を作る。

体温コントロールを外部リソース(もちろん、アクセス性に格差がある)に依存せず、人体の生理機能として持つこと。それにより、地域の価値的格差をなくす。


…何万年か後に、自己がまたまた人間に宿るのなら、せめてこれぐらいはお願いしたい。でなければ、それはお断りしたい。

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2016年6月11日 (土)

自己は他者

庭の小さなカボスの木が今年は異様なほど大量に花をつけ、それから約1か月あまり、今では直径2ミリほどの実を大量に落果している。これにかぎらず、生命の無駄の量の膨大さは、植物でとくに顕著に目につくが、動物でも、人間が一生のあいだにwasteする精子や卵子の数たるや、相当な量である。

ということは、この特定の、各自が「自己」と呼びうる個体の発生と生存の確立はものすごく小さく、落果して死んでしまう方の確立が99.99999999.......%とものすごく大きい。言い換えると、自己にとっては、真っ暗な「無」こそが常態である。生体としての自己がなかったこと、が、この宇宙の常態。…なのに、たまたま、生まれたいと思ったわけでもないのに生まれてしまい、かなりの年月、生き延びている。

(1)おびただしいwasteの中で特定の個体が発生する確率はかぎりなく0%に近い。
(2)その、発生した個体がこの(各)私の自己である確率はかぎりなく0%に近い。
(1)×(2) = ??
そこに自己のいない、無の、真っ暗闇の宇宙が、正常態の宇宙。

そんな超低確率で生じた自己とは、自己自身にとってさえ、とんでもなくけったいな「他者」でしかない。
自分というものが、望まずして存在している。
しかも、ものすごくややこしくて、そしてひ弱な生理構造(“生病老死”)で…。
わけわからん、意味不明の、他者。

※:まあ、自己の記憶能力の自己による完全なコントロール不能を見ても、こいつ(私の自己!)は、ヘンテコな他者じゃん、と言うしかない。逆に、自己を他者措定(対象化)しないところに、コミュニケーション不能の核はある。

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究極の他者不在: 「神」、から、「宗教」、へ

…そして、人間には利用する権利も資格もないものを、支配と差別と抑圧と、それらを正当化する(or正常視する)ための、最大最上位の道具として利用してきた。貨幣は、そのような神から、100%、endorseされた。

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2016年6月 6日 (月)

「他者センサー」の最初からの不具合

2008年のアイスランド金融破綻の、数千ページにおよぶ調査報告の結論が、「主要銀行5行のトップが全員男であったこと」を原因として挙げていることは、有名な話だ。

いじめ自殺とか、虐待自殺、虐待殺などの報道があるたびに、そこには必ずワンパターンで、児童相談所の無能消極ぶりが挙げられている。毎度毎度、感性も動きも鈍く、素早い緊急的動き(〜介入)をまったくしない彼らの“税金泥棒”ぶりは、「児童相談所のトップと決定権のある人たちが全員男だったから」、と未来の報告書に記述されるだろう。

男にしては、そして軍国主義が猛威をふるう日本の中にありながら、十二分の他者感性を持ち得た杉原千畝氏は、彼がうんざりした満州の日本人軍人(公務員!)について、「傲慢、無責任、出世主義、…ほとほといやになった」と述べている。

●傲慢…いわゆる、“役人風”を吹かす。人間に対する真の関心を持たない。
●無責任…積極的にコミットしない。自分の責任になりそうなことから逃げまくる。自分の地位の安泰だけが重要。
●出世主義…日本の公務員の評価には成果主義がないから、無事平穏に一定の時間が過ぎ去ることだけが、出世のために重要。

そして凶悪ストーカー犯罪などに関して、日本の警察官の場合は、「起きた犯罪の犯人〜容疑者を見つけてつかまえることが自分の仕事」と思っているから、起きるかもしれない犯罪の未然防止は、二の次三の次、どーでもよいことになってしまう。それが正規の仕事だ、という自覚がない。助けを求めてきた親などに、人間としての真の関心を持たない。形式的な、ネガティブな対応に終始してしまう。

日本のパブリックサービスのエンドユーザーインタフェイスから、オトコを完全排除すれば、かなりましになるのではないか。もちろん制度改革と教育訓練も重要だけど。

もちろんこの話は、世界の国のトップが〜〜、とか、世界の企業のトップが〜〜、といった話にも発展しうるが、ここではやめておこう。


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2016年6月 4日 (土)

Another 他者不在s in Nations

イギリスは、EUを離脱した方が損か得かではなくて、イギリスはヨーロッパの中では強国大国だから、EUやそのほかの国家集団において、積極的にリーダーシップを担うべき。ある種の、ノブレスオブリージュを引き受けるべきです。その覚悟と実践から、イギリスのより強大な未来も育つ。自国の損か得かだけで考えると、未来の墓穴を掘ることになる。

それは、アジアにおける日本についても言える。

イギリスのEU離脱派、ドイツフランスなどの極右勢力、日本の右翼的(?)勢力などなど、世界の近未来の大きな変動を間近にして、身を硬くする、身をすくめる、ぎゅっとちぢこまる、防備的受け身の姿勢というか思想(?)が目立つ。

しかしそういうときだからこそ、十分にリラックスして大きな心と脳を持ち、すべての他者に前向きの関心を持ち、多方向的に行動的平和対応を図っていくべきなのである。日本の明るい未来も、そこにしかない。

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