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2014年12月28日 (日)

網と階層

過去何百年、何千年、何万年、人類社会の構造は階層(ヒエラルキー)である。だからこそ、ヨコヨコのコミュニケーション能力が発達しない。階層の仮想頂点がさまざまな宗教とそのさまざまな神だ。

網(ネットワーク)が人類社会に本当になじむには、短くてもあと数十年、妥当な線では数百年かかるのではないか。

社会的決定の過程としての権力の階層と、社会的流通の過程としての貨幣の階層(差異の階層)は、いずれも効率は良いと見えるが、その社会的人間的クォリティはすさまじく低い。多くの人を、慢性的に不幸にしている(※)。

※: 階層は競争を生み、競争は他者破壊を生む。戦争は言うまでもなく不毛で無意味な悲惨だが、より多くの有価物を得るための、自然に対する大規模な暴虐は、大規模で深刻な反撃を食らう。

そこで、問うてみる価値のある質問は、階層が支配したからヒトのコミュニケーション能力が発達しなかったのではなく、コミュニケーション能力が未発達だったから階層が突出的に発達し支配的となったのではないか?という点だ。

階層、「上」と「下」、「富」と「貧」という人間関係のあり方はいやだ、廃棄したい、という今のところ非力な願いは、だから未来に向けての進化の、ささやかな萌芽かもしれない。

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インターネットはネットワークの理想形ではない。ISP(インターネットサービスプロバイダ)と一般ユーザの接点は典型的に階層だから、階層権力はそこを易やすと締め付けの急所として利用できる。中国政府のやり方が目立つが、もちろん、そうやってネットワークを締め付けるのは中国ばかりではない。

Linuxの場合も、パテントという階層概念の地雷を踏み、Microsoft等、階層のボスどもにいいようにいじめられてしまった。オープンソースネットワーキング開発も、今のLinux等はその理想形ではない。


(本稿未完)

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葉を見て根を見ず

「21世紀の資本」は、大衆的マスコミでも取り上げられるようになったが、やはり、そこに本質論は見当たらない。貨幣そのものが差異なんだ、格差なんだ、という本質論が。

巷間伝えられるところから察するにあの本は、その差異の起動の、第一波、もっとも大きな強い波を描写しているにすぎない。言い換えると、差異が生まれるもっとも典型的な場を。それは、資本を操作する側と、操作される側とのあいだに決まっているし、差異がなければ資本利益(→資本の肥大)もない。それは、マルクスの言うような搾取ではなくて、貨幣のきわめて正常で健全な運動である。そこから差異の波動が起動し、波紋が伝わっていく。

いわゆる資本の前にも、“ほぼ資本相当”は存在していたことを、忘れてはならない。“ほぼ資本”の典型的なものが、操作される側の典型的なもの、すなわち労働力集団や土地、そのほかのリソースに対する共同体の規約としての権利などだ。資本という言葉は、歴史的に、ものすごく延伸して解釈する必要がある。

たとえばアメリカ資本の圧倒的に最大のものは、盗んだ土地と盗んだ労働力(どっちも非白人から)。その量(==差異の量!)は、どちらも膨大だ。今、正当な支払をしたら、アメリカの総資本は現状の1/100以下に縮小するだろう。

繰り返すと、資本という概念は、リアルに、拡大解釈することが重要である。

貨幣の本質が差異であることを、大衆的マスコミレベルで、なんとか啓蒙する必要がある。

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2014年12月26日 (金)

子猫がかわいいということ

もう今後は新たに犬や猫の保護は引き受けないつもりでいたが、今年は猫が新たに5匹増えた。それぞれ、やむを得ない事情がある。うち3匹は、5月下旬に生まれた子猫だ。

今年は3匹の高齢猫が、亡くなったけど。

久々の子猫の世話なので、そもそも子猫がかわいいとは、どういうことか、考えてみた。

それは、この宇宙の唯一の神秘、「自己」というものが、子猫という、人間以上に弱くはかない、この特定の惑星上の生命体に宿らされてしまったことに対する、名状しがたい、慮(おもんばか)りだ。

そもそも子猫の多くは遺棄される(捨てられる)し、運が悪ければ飢えで苦しみつつ数日で死ぬ。

弱すぎる。苦労が多すぎる。

地球上の生命体というものは、「自己」が宿るに、なんとふさわしくない、粗悪なものであることか!

でも子猫は、そんなこと考えもせず、毎日、いっしょけんめい生きている。その姿や顔に対しては、かわいいという形容詞しかありえない。

しかし翻って考えると、このブログの読者も含め、みんなみんな、無理やり、妙な動物へと宿らされてしまった「自己」なのだ。地球上の生命体==魂の牢獄。もっとも劣悪な牢獄が、人間(貨幣、戦争、…、…)。

この牢獄の惑星が存在することの意味は、われわれには分からない。ただ、そこへ宿らされたから、しょうがないから、刑期を務め上げて、牢獄を出る(死ぬ)のみである。

子猫は、そういう、わけわからなさの、とてもピュアな象徴だ。だから、とってもかわいい、と思えてしまう。

(この文未了)

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2014年12月25日 (木)

お姫様病/王子様病

韓国の財閥航空会社の社長の娘(すでに‘副社長’)が、機内食でナッツが皿に盛られずにパッケージのまま出されたことに怒り、その航空機を離陸直前のランウェイからランプに戻させたトンデモ事件が、韓国の俗諺で「お姫様病」と呼ばれているらしい。対(つい)としてはたぶん、「王子様病」もあるのだろう。

そもそも政治権力や経済力で上の方にいた者の子孫には、ときどきおかしいのがいる。と言って今真っ先に思い出すのは昔の、佐川急便の社長の御曹司*がフランスでやったトンデモ事件だ。あれは、ふつうの悪人やふつうの犯罪者ならやらない、たぶん。最近ではカジノでウン億円を蒸散させた、紙会社の王子様がいたな。もっと最近では、大量のボンビーなタイ人女性たちを利用して、自分の精子で作った子を大量に製造したのも、どこかの王子様。

*: 下にiris60さんからの訂正コメントがあるが、当時の(きわめてセンセーショナルな)報道ではそうなっていた。その後の訂正おわび報道のようなものは、少なくとも私の目には触れていない。ググって情報の藪に迷い込んでるヒマもないので、当面それもやめておきたい。

先日の解散総選挙が意味不明であったように、憲法改正(‘正‘?)も意味不明だ。

こりゃあ解散総選挙せなあかんわ、と誰もが痛感するイシューは皆無。史上最低の投票率になった。

憲法も、どーしても憲法を更新すべき理由が、ふつうの国民レベルでは誰にも思いつかない。

王子様の頭だけが、なにやら、猪突猛進的に考えておられるのだ。

正規の軍隊のない国は、正常な立派な国ではない、とか…。

この場合とくに怖いのは、野党も含めて、近接圈がなぁんにも勘づいていないことだ。だから明示的な抑止能力がどこにもない。アベノミクスという一人よがり自己満足の愚策の場合も、まさにそうだった。いや、まだ、過去形では言えない。

これは、本当に怖い。

あの当時だって、対米宣戦布告を暴挙と呼び、反対した人は何人もいた、なんて今から言っても、なんの慰めにもならない。無駄死にしたウン十万は、生き返らない。*

*: 共産党の長老などだけでなく、自民党や元自民党の長老たちの中にも、王子様ならぬ‘王孫様’の愚挙を危惧している人は少なくない。でも彼には本来、“学ぶ器量”というものがないので、ますます怖い。

私の今の年齢からして、再び、日本上層部の「大愚」と、それがもたらす「大惨」を見ることはなさそうだ。だがもちろん、若い人たちは可哀想だ。まあ、大愚を支えるのは日本ローカルの「多愚」だから、しょうがないか。

平和は、理念よりも実装がだいじ、ということに、いつ、何があったら、ローカル自民党投票人種たちも含めて、気がつくのか、気が付かないのか。そういう意味で、過去数十年、真の「平和教育」はなかったわけだし。

なんか、奇跡のような(良い方向の)大激変が起きるのを、期待するしかないかな。

[続編]

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