国際司法の充実整備は焦眉の課題
わしが国連事務総長やったら、世界遺産なんて意味不明なことより、もっと重要なことやりまっせ。それは、国際司法育成準備委員会の立ち上げや。そっから、徐々に気運を育てていく。
とにかく、今の世界中、強力な国際司法の不在によって拡大している悲惨が多すぎる。
今日はたまたま、1945年、つまり日本が太平洋戦争の敗戦を受け入れた年に、北方(北海道〜〜)軍の司令官だった人物の伝記を読んだ(「指揮官の決断 満州とアッツの将軍 樋口季一郎」文春新書)。
いろいろな話が載っているが、ここで取り上げたいのは、いわゆる北方四島の問題。例によって国際司法がないから、人間の常識として言うしかないが、終戦のオフィシャルな成立は、双方の戦闘停止、負けた側の武装解除を意味するだろう。ソ連は、ヤルタ会談に参加、ヤルタ協定に関与、という意味でも勝った連合国の一員であるはずだ。だから、1945年の8月15日以降は、ソ連軍も戦闘を停止するはずだ(対日宣戦布告からわずか1週間!)。相手が負けを認めて、戦闘停止、武装解除をしているときに、勝ち組はどんどん武力侵攻してどんどんあちこち占領してよい、という理屈は、人間の良識と常識を実装した国際司法が認めないだろう。
この本によると、ソ連によるいわゆる北方四島の占領は、日本のポツダム宣言受諾から2週間も経った8月28日〜9月3日にかけて行われている。何かの合意事項には基づいていない(ヤルタ協定にも)。いや、歯舞群島と色丹の少なくとも二島は、“スターリン・トルーマン密約”*の千島列島には含まれていない。
*: この密約はのちに、アメリカ政府の公式決定ではなくトルーマンの独断、とされる。この説を取ると、国後、択捉のロシア帰属もおかしい。
というわけで、四島(少なくとも二島)のソ連領化〜ロシア領化は、未来の良識的国際司法に照らせば、違法である。さらにあの、大量の日本人のシベリア連行+強制労働も、違法と見なされるだろう。
ただし原則として領土問題は、最終決定権が、当該地の住民(〜帰島を希望する元住民)と、住民と関連の深い人びとの意思にあるべきだ。そう!沖縄に関しても!。
〔参考文献。〕
注1: 日本軍も中国などで相当ひどいことをやらかしていたようだし、未だに真の償いや和解には達していないと思うが。
注2: 本書は、アッツ島玉砕を樋口氏の経歴中の大きな泥と書いているが、あれはまったく彼の判断でも責任でもない。この件にかぎらず日本の軍部上層部は、中国人等だけでなく、自国民(兵など)をも相当ひどい扱いを平気でしていたのだ。樋口氏には、その残酷な命令を無視して撤退用艦船を送るなど、物理的な持ち駒がまったくなかった。なお私は、樋口季一郎氏と個人的な因縁はまったくない平凡な一読者にすぎない。
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