生物のそれぞれの種を作った神々の中で、最高の天才、“異才”とも呼べるほどにユニークな天才は、蜘蛛を設計した神様である。とにかくあれは、凡人、いや凡神の頭には絶対に浮かばない不思議な生物形だ。それに対して、もっとも劣悪な鈍才神の第二位は(第一位は戦争と差異(a.k.a.貨幣)という二大悪の大好きなヒト科オトコ目という生き物を作った超悪質変態神)、蚊を設計した神様だ。温血動物の血液を少々いただくために、提供者に不快なかゆみや病原菌、病原虫を与える合理的な理由は、どこにもない。その第二位鈍才神は、悪意に満ちた悪戯神だ。wicked prankster.
このところの急激な秋寒となると、蚊は寒さに弱いので大挙して人間の居室に避難してくる。
ある日の夕方、洗濯機の横の小窓に、そのような蚊が数匹とまっている。うちは猫も多数いるし、その食べ物もあるので殺虫剤はほとんど使わないが、それまで手や足をさんざん食われてかゆくて不快だったため、噴霧式の殺虫剤を、それらの蚊に対してちょいと噴射した。
それまで私の視界になかった、草色の小さな蜘蛛が、窓枠上部から、自らの糸を使ってゆっくり降りてきた。
このあたりは、植物や昆虫の種類が多いだけでなく、蜘蛛の種類も、大小さまざま、とても多い。外だけでなく、家の中にも大から小まで、いろんな種類がいる。
そしてその小さな草色の蜘蛛は、しばらくもがいていたが、やがて死んだ。
とても後味の悪い殺虫剤噴霧行為となってしまった。
そのときは、私の脳に、救済策は何もひらめかなかった。今考えると、スプーンですくって、水を張ったボールに入れて、全身を洗ってやれば、もしかして…。いや、だめか…。
無辜の幼い人畜無害な魂(一個の立派な“自己”)を、無意味に殺してしまったことは、本当に後味悪い。しかも、取り返しがつかない。
ほかには、何も言えない。
最近のコメント