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2013年7月31日 (水)

Afiara String Quartet

西洋クラシック音楽の、ずばぬけてダントツの、山でいえばエベレストクラスの最高傑作は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番作品131嬰ハ短調だ。最晩年、耳はまったく聴こえない、孤独の中の透徹した自己沈潜。

長年、ブダペスト弦楽四重奏団のパワフルな演奏がベストだと思っていたが、今YouTubeの上では新旧いろいろなクヮルテットの演奏を聴くことができる。その中で現代の若手ベストが、

Afiara String Quartet

四人全員がカナダ人。これがどういう曲であらねばならないか、が、よく分かっている。このライブ演奏は、頑張りすぎて、途中、ちょっと余裕のない面もあり、最後息切れぎみになるが、最終の1分間でうまくまとめる。コミュニケーションの時代は、自己が孤独で唯一無二の自己であることを深く自覚する時代でもある。そこに、この音はぴったり似合う。

というわけで、良い音で、大きな音で、一聴をおすすめする。

2013/08/03追記:
現代のカナダで最高峰の弦楽四重奏団といえば、New Orford String Quartetです。もしかして、今の世界最高峰かもしれない。なにしろすごい。でもAfiaraには、down to earthな、人間の心、人間の歌、といったものを強く感じる。

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コメント

やはりずば抜けてダントツの、一点非の打ち所のない完璧な作品として、モーツァルトのピアノソナタ17番ニ長調K.576はいかが? 音楽とは音の隔たり=音程のことだと心底納得のいく驚異のポリフォニー、小鳥のさえずり、一陣の風…。グールド盤で、ぜひ!

投稿: iris60 | 2013年8月 1日 (木) 02時30分

以前「熱情」も賞賛されていましたよね。

投稿: 南 | 2013年8月 1日 (木) 08時18分


@iris60
モーツァルトの晩年のピアノ曲は、この世のものとは思われない深い透明感/玲瓏感があり、昔からとても好きです(K545はなんとか弾けた)。ただ、この透明感が一体何なのか、未だに言葉にできません。最高傑作は、コンチェルト27番でしょう。

K576は珍しく対位法を多用していますから、グールド向きなのかもしれませんが、私はこのピアニスト、好きくない。音楽のとらえ方があくまでも外形的で、こざかしい、というか…。放下し、脱力した沈潜、深み、がない。モーツァルト晩年の透明感とは、無縁な世界の人。

#130805追記: それに、なによりいやなのは、彼のピアノの音はウツクシクない。言い換えると音が彼においてきちんと対象化されていない。単なる主観の発露。グールドを褒める評論家も、駄文ばかりでうんざり。

ちなみに私の勝手な西洋クラシックトップスリーは:
1. ベートーヴェンSQ14
2. バッハマタイ受難曲
3. モーツァルトレクイエム
あたりかな。 

投稿: iwatani | 2013年8月 1日 (木) 21時47分

@iwatani
おお、なんと正統的な!(笑)

投稿: iris60 | 2013年8月 1日 (木) 23時34分

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