相手国社会状況の劇症化に終わらない資源外交とは
表面的な「正しい理屈」としては、相手国の政府と正式に合法的に契約して、しかるべきお金も払って、資源の採掘プロジェクトを動かしているのだから、テロリストにやられたことは理不尽な犯罪被害以外の何ものでもないように見える。
でも、まず、相手国政府なるものが、昔なら超特権階級たる王族一族、今ならたとえば不法軍事政権だったりする。ほぼ全国民が納得し肯定し支持している近代的民主的政権ではない。
だから、表面的に正しい理屈の裏では、実態としては、西欧列強によるアラブ世界〜中東世界〜イスラム世界の(そこの人びとや社会に対する)搾取が数世紀にわたって続いてきて、今の21世紀になってもまだまだ続いているわけだ。それは、その社会の持つ劣悪な症状を、悪化させ、劇症化させてきた。だから、
テロリストたちが育つ温床は、その長期的な搾取が醸成したものにほかならない。
だから日本〜日本企業は、単純にうかうかとその尻馬に乗るんじゃなくて、いわゆる西欧列強の伝統的な態度とはまったく異なる、視野広い、優しい、賢い態度をもって、相手国国民の社会と心に浸透していく努力が必要なのではないか。テロリスト消滅は、当該国政府の武力ではなく、国民の成長と生活改善が基盤にならなければ、絶対に成功しない。
日本の平和憲法(不戦憲法)は、ただ単に憲法の条項があるだけでは全然だめで、その、ものすごく活発な、積極的な、そして定常的(コンスタント)な、多様な「実装努力」が絶対的に必要だ、とかつて書いたことがある。実装努力とその絶えざる持続がなければ、平和は空しくてひ弱な願いにすぎないものへと頽落する。そんなとき平和憲法は、誰かがとっくにゴミ捨てに捨ててしまった経文にすぎない。
外国で仕事をする日本企業も、その実装努力の一翼を担うことが、絶対的に必要である。その国の政府が粗悪で国民搾取的なら、相手国の政府だけをインタフェイスとしてこと足れりの「一見正しい態度」は、実はとっても、ヤバイ態度だ。
また、エネルギー資源について言えば、外国を向く前に、とくに日本の場合は国内の開発に着目すべきだ。泰子さんの霊が、本当に明るく、浮かばれるためにも。もちろん有力候補は、地熱だけではないが。
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コメント
イスラム対キリスト教という構図の第三極としての日本。
欧米の猿まねが一番危険。
投稿: 南 | 2013年1月22日 (火) 08時27分
50年後くらいには、日本の人口が今の半分くらいになっている可能性があり、もしそうであれば、国内のエネルギー需要の大半を再生可能エネルギーでまかなえるようになるのではないでしょうか?(退廃的に過ぎる考えでしょうか?)
投稿: iris60 | 2013年1月22日 (火) 22時35分
本当にそう思います。生活基盤がしっかりして
幸せなら、そんなことしようと思わないはず。
あと、
実装努力、という言葉が響きました。
なんだかスッキリした読後感
明日も頑張ろう!
simomitu
投稿: 下光博之 | 2013年1月22日 (火) 22時39分
平和主義というと、人の喧嘩を高みの見物している卑怯者みたいなネガティブな意味で捉える人がいます。しかし「なにもしない(消極的)」のが平和ではないという事にいい加減気づかなければいけないですね。実装努力の「実」の字が「武」にならないようにしなければ!
投稿: msataro | 2013年1月23日 (水) 10時38分
歴史を学ぶとは、氏のようなことを言うはずなのに。それを年号や、人名などの単語だけを強制しやがって。ストーリーを伝えろ、考えさせろ、歴史の教師どもよ。6年間の歴史の時間を返せ!!バカ野郎共め。
投稿: ohiya | 2015年1月11日 (日) 07時27分
今日はフランスで反テロイズムのデモが起こっためでたい日。これで、テロリストの皆さんもションベンちびって心あらため、「もう二度とテロ行為はいたしません。」と反省できる素晴らしい日となったのでございます。やはりトンチンカンナな「他者不在」行動はすばらしい効果を上げるもんなんですねー。めでたい、おめでたい。
投稿: ohiya | 2015年1月12日 (月) 21時08分
歴史とは人類の残した遺産である。その因果関係を解くことは、人類やその人のあり方に多大な影響を与える。世界史とは、ちっぽけな歴史の授業で教えきれるものではない。歴史の教師も生徒も、ロボット(機械)である。
投稿: ohiya( | 2015年1月29日 (木) 06時21分
[変更]その人のあり方→その社会のあり方
歴史をしっかりと学ぶことは、マジに社会を変えることになるのではなかろうか。そこに有意義な議論が加われば。
投稿: ohiya | 2015年2月 1日 (日) 07時01分