乾いた音
(故)田中希代子さんのドビュッシーとか、(現代の新進)水藤晶さんのラヴェルなどには、私の聴覚が、「日本人離れのした本物性」というやつを、敏感に、すごく鮮やかに感じてしまうのだが、では、「日本人離れのした本物性」という、それ自体すでに陳腐な形容句を、説明しろと言われると、音やフレージングがクリヤーで、"乾いている"、といったこれまた陳腐の二乗のような形容句しか出てこなくて、われながらなさけない。
要するに、音がびちょっとしてたり、リズムがもっさりしてるのは、旧来の日本的なピアノ演奏(等)なのだ。コミュニケーション学に一足飛びしてしまうと、日本人お得の没論理性、AとBはまったく違うものなのに、話の中で勝手に無意識に同じジャンルとして扱ったり、等々々々の恣意性がなく、音を音として、音楽を音楽として、クリアな独立の存在として認識&表現しているか、ということ。とくにピアノは、垂直に打鍵するという、日本にないタイプの楽器だけに、旧来の、"横流れ"(==他己なしの自己塗りつぶし)の大好きな日本人には、本格的に弾くことが難しい楽器だったと思える。
ドビュッシーもラヴェルも、西洋クラシック音楽の最後期を代表する音に属し、論理的に言うと、20世紀半ば以降は、西洋クラシック音楽の作曲家というものは存在しない。アフロアメリカンの米国市民権獲得とともに、音楽はオフビート+ブルーノートが次第に勝利していく。その最後期に、西洋の伝統音程に対する革命(?)を志向した二人のうち、とくにラヴェルが、そのやがて来る"敗戦"を予感しているようだ。しかしそれでも、西洋クラシック音楽が持つ論理性は、ロック音楽の重要な柱の一つでもある。そこで、音的にも完全に、日本人離れした本物的な、日本人ロックミュージシャンていたっけ?。どうでもいいことだけど。
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コメント
個人的に、Minmi が、好きなんですが、彼女は、大のレゲエ好きだそうです。
投稿: alarky | 2011年12月26日 (月) 22時45分
(浅い理解ですが)
日本人は、この乾いた音(楽)というものがとにかく苦手ですね。聞くのも演るのも。
藤圭子とか三橋美智也とかはかなり乾いてましたな。
投稿: みなみ | 2011年12月27日 (火) 09時56分
北海道の「不可能」というバンドのカセットテープが聞いてみたくてしょうがなかったのですが、…。
投稿: m.hodo | 2011年12月27日 (火) 12時53分
音楽って、「音を楽しむ」って書きますよね。単純に、「わぁ!なんだこれ!なんだかしらないけどわくわくする!」ってな音は、ロキシーミュージックの1st以来(古い話で、ピンとこない方、申し訳ございません)、…ないですねぇ。作られた音に飽きちゃったので、音楽は最近、全然聴いていませんね~(私事で恐縮です)。
投稿: 裸ののうさぎマリオ | 2011年12月28日 (水) 07時41分
ピアノと言うのであれば、ロックじゃないかも知れないけれど、
Hiromi が挙げられるのではなかろうか?
アルバム「VOICE 」は良かった、ヨ
ここは、現役ロック聴きが少ない場所だけど
それをいいことに、今年を振り返って、勝手にベストを
選んじゃいましょう!
洋楽:bjork /biophilia
ビョーク/バイオフィリア
邦楽:the HIATUS /A World Of Pandemonium
ザ ハイエイタス/(大混乱の世界)
さて、ここでは、今年、ZAZ を教えていただきました
いよいよ日本に来られる様子です。あのときの主旨からすると
ライヴ体験が肝となるのでしょう
2月23日(木曜日)・24日(金曜日)赤坂BLITZ
2月25日(土曜日)なんばHatch
どなたか出掛けてライヴレポートをアップしてくれないか
以上、乾いた音通信でした
そうそう、どうでもいい、と云われたら、それもそうで
返す言葉が見つかりません。
田中希代子さん、水藤 晶さんは探して聴いてみます
先ずは聴かないと言いようがありませんから
いつもながら、教えてくださり、ありがとう!
simomitu
投稿: 下光博之 | 2011年12月29日 (木) 23時27分
日本の、で想い浮かぶのは、ジョー山中です彼の声にはジェラシーしか感じません。洋楽のremakeと英語で歌っているrしか知りませんが70年代後半にはジャマイカにわたって現地のMusicianをつかってrを作っていましたがまるでp.toshの、rのようで普通にレゲエのrとして聞ける優れた声だったと思いますクラシっくの人達も解釈勝負ですよね日本のロック(トヤラヤモ)解釈勝負なのでしょうか?
投稿: M.hodo | 2011年12月30日 (金) 03時09分
Monoというバンドがすばらしいと思います。日本人っていうだけで、主な活動は海外のようですが。
テイトウワを日本人といっていいのかわからないけど、晴れた日にだけ作曲するというアルバムのシリーズが、本当に世界を変えるような力を感じます。
投稿: 長谷川 | 2012年1月 8日 (日) 18時52分