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2011年4月15日 (金)

nature-friendly technology(part2)

コミュニケーションの重要な基盤の一つが、他者の正しい理解だ。人間にとっての他者は、自分も含む人間たちだけでなく、自然の全体とそのあらゆる細部も、重要性の高い他者だ(ていうか、重要性の低い他者なんてありえないが)。

他者理解の重要な前提の一つが、他者を自分の意味体系で理解(したつもり)になってはいけない、という点だ。

他者そのものの実体/実態を、知る、想像してみる。

たとえば海というものの、まず、スケールを想像してみよう。幅数千キロメートル、深さ数千〜1万数千メートルという、巨大な水のかたまりだ(しかし地球上のほとんどの生物が直接間接に海に依存している)。このスケールの水塊にとっては、高さ数十メートル程度の波は、ちょっとしたことで起きうる、ささやかなripple(さざなみ)にすぎない。想定外どころか、十分に想定内、おっと"想像内"、であるはずの現象だ。

そういう、海という他者の想像的理解に基づいて、たとえば原発は設計すべきなのだ。で、三陸沿岸とその近辺は無理なら、建設をやめる。5.3メートルなんて、無根拠な、無謀に楽観的な、ムシの良すぎる設計をするから、災害時に第二のチェルノブイリが起きる。5.3メートルという設計を見たとき、海は、ケラケラとあざ笑っただろう。

子ども時代にずっと海のそばだったから、体感的に知っているが、海はこわいものである。地球上の、ずばぬけて最大のモンスター、それが海だ。今度、海辺に立って、海をよーく見てみよう。なめてかかってはいけない。対立的〜操作的に接してもいけない。海とは、まさしく、friendlyに接しなければならない。つきあい方が正しければ、海はすばらしい友だちだ。

もう一つ。E=mc2という他者。mを分解してEを取り出す技術は、その逆過程、つまりEを元のmに…瞬時に!…戻すリセット技術が完成しないかぎり、実用に供してはならない。この技術を人間は持っていないが、自然は持っている。ただしその実現工程の期間は、通常、数億年である。…つまり核エネルギー利用の安全な(=controllableな)実用化は無理、たぶん。

他者を、なめて、安易に接した報いが、今、のたうち回って暴威をふるっている。人間側の、自業自得である。

他者をなめた報いは、当然起きる。それを想定外と言うのも、愚かさと思い上がりの極致だ。他者が、てめえの勝手な「想定内」になんか、いるわけないじゃん!!!

いわゆる昨今のテロ事件、そしてアラブの動乱も、西欧社会があまりに長年、他者をなめて、無視して、搾取してきたことの、当然の報いではないか。いまごろになって、NATO軍を派遣するぐらいなら、もっと前から、アラブ社会との正しいつきあい方があったはずだ。

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コメント

こんかいも ボクが言葉に整理できなかったことに ひとつの解をいただきました。近現代の認識の過程 短い追試 分離と統合=主体という宗教(科学)とくに E=mc2の くだりは 大変感銘を受けました。  

投稿: ドイK | 2011年4月15日 (金) 13時34分

動物・植物問わず、あらゆる生態系には自ずから個体差があり、厳密に言って、「一般」とか「絶対一」等と言う概念は全〜然通用しない。人間の場合、無害と言われるレベルの放射線医療や治療でさえ、副作用の度合いは、個体の違いに依って微妙かつ決定的に顕著である。従って、正に取って付けた様な放射線基準値なんぞ、有害を有害でなく見せ掛ける為の、ある種の逃げ口上以外の何物でもない。

人間が自然に背いて作った放射能。自ら招いたその過誤・誤謬が原因故、仕方無く汚水が海に投棄され、我々が必要とする魚や海藻にも悪影響を及ぼしている。何にも知らない彼等は本当に可哀想だが黙ってはいない。今度はそれらを食する人間に対して復讐を開始するのだ。これぞ正に悲惨・非情な本末転倒の自業自得。ん〜、桑原桑原である!

数多の躓きの石を無神経かつ無反省に随所に作り、その石に躓いてからやっと学習~反省し、初めて自覚や認識を得ると言うのが是迄の人類の歴史であり、それは悲しいかな、現在進行形である。この点で、人類は未だに超未熟・超未完であり、西暦二千年過ぎた現代も未だに黎明期と言って過言ではあるまい。より新しい思想、また、より新しい哲学を以てして、実際に躓かないで済む様な確固たる施策・方策を如何に作り、如何に整備して行くかが、今後の人類黎明期突破の鍵だろう。

投稿: Voyant | 2011年4月15日 (金) 14時35分

ずいぶん、ずれたことを書いてしまいますが、今突きつけられているのは
「電気をあきらめられますか?」
という問いだと思う。

投稿: 南 | 2011年4月15日 (金) 14時43分

Today, I've got your essay much, and felt so attractive.
…今日の話はとても面白く、よくわかりました。

投稿: alarky | 2011年4月15日 (金) 20時28分

五木寛行が、すべての学問や理論も、人間でいうなら、まだ小学生の域にも達していないのではないか、といっている。文学者もたまにはいいこというな。

投稿: bad | 2011年4月17日 (日) 22時42分

僕も今回のは岩谷さん
らしい、その通りの連続
の参考になる記事、と
読ませてもらいました。
そこで質問です
エネルギー問題は
核 は 置いておくとして
世界中の英知を集めれば
解決出来るのでは?
と思うのですが、どう
お思いでしょう
あと
単純岩谷文ファンとして
昨年新作新刊って
ありました?
休みの日、部屋の片付け
していて、ふと
思いました。
simomitu

投稿: 下光博之 | 2011年4月21日 (木) 19時28分

関連記事を見付けたので
書いておきます
weeklyプレイボーイ
No.24
橋本 治のあんまり役に立たない話
vol.003
原発ってお湯を沸かす所だったんだ
能町みね子さんの絵も
素敵
家庭用原子力湯沸かしポット
こういうものができない
限り 技術として確立されていない、ということ
ですよね。

岩谷さんの言う通り
無理ですね

simomitu

投稿: 下光博之 | 2011年6月 2日 (木) 08時04分

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