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2010年8月13日 (金)

アクチュアリティメディアとしてのテレビ/ネットビデオ

今(これまで)の、「局」とか「番組」という座敷牢に閉じこめられたテレビは、メディア(媒介、人と人のつながり)のメディア性を封殺抑圧したものであることは、すでにここここで述べてきた。

そういう環境では、ドキュメンタリーとかジャーナリズムというものが、既製ストーリーの枠へと削られてしまう「きれいごと」に終わってしまう。現場でカメラを持ち、マイクを持ち、レコーダーなども持つ現場ジャーナリストの、アクチュアルな出会い、発見、思いがけぬ本質的な事件との遭遇、といったものが、全部捨てられた、カスのようなものを視聴者は「完成した番組」として見せられる。

今のテレビ局は、ジャーナリズムをなめてかかり、極端なまでに矮小化している。なぜなら、前にも申したとおり、今のテレビは「メディア」になっていないからだ。

本物のジャーナリズムの仕事は、けっして、「報道」ではない。人と人のつながりをより濃くし、互いにより責任あるものにすることだ。すなわち本物のジャーナリズムの仕事とは、「メディア」そのものであることだ。ジャーナリストAさんの向こうにある人びとと、こっちにいる私たちとの仲が、よりのっぴきならなくなること。これが、メディア(糊)の仕事だ。

そういう意味でこれからの時代、これからの世界においては、ジャーナリズムという仕事は、最高におもしろく有意義な仕事であるはずだ。犬死にしないよう気をつけることも、仕事の重要な一環だ。

考えてみれば、「報道」は、生産者も消費者も自己を単なる見物人の安全地帯におく、そうとう無責任でけしからん営為だ。報道の死を! 世界中で、真のジャーナリストの活躍を!

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コメント

 今日関西ローカルで放送されたドキュメンタリーで自分が発言したところが流れたらしいです。僕はテレビを見ないからどの部分が流されたのかわからないけれど、仕方なく取材を受けたことを本当に後悔しています。今、本当に苦しいです。何時間にわたり受けた取材をおそらく一分位にまとめられ、これから日頃接するあらゆる人から、説明を求められる。iwataniさんのブログを毎日チェックするぐらいですから、世間的な意味であまり社会性のないと自覚しています。iwataniさんほど能力がない私が、この先対応しきれるかどうか。自分のした発言は、責任を取らなければならないとしても、あんまりだなと、ものすごい暴力だなと、やるべきことが手につかないです。その程度のことで苦しむとは、精神的に弱いのかなとも思います。
そのドキュメンタリーの内容を正確に批判するコメントをツイッターで見つけて勇気づけられたりもしました。

 メディアに出ることであらゆる人と遠ざかったなと思うと同時に、考え方の正確さに出会ったなとも思います。ただもう二度とテレビには出たくありません。そして、ポップスターたちは僕の比でないぐらい傷ついただろうことは想像できるし、劇場型のあり方そのものが、当事者にとってはあまりに悲劇的すぎると思いました。まだテレビを見ていた父親には話していませんが、今一番気になっていることは父親の反応です。ごく親しい人の痛みの共感が、僕には真のコミュニケーションかもしれません。

投稿: nakagawa | 2010年8月14日 (土) 00時26分

@nakagawa
テレビの無礼と失礼と傲慢を実体験なさったからには、全然関係のない領域からでもいいから、ぜひ、有意義な復讐を!

それがライフワークになると、なおいいかもしれない。

投稿: iwatani | 2010年8月14日 (土) 12時55分

nakagawaさんへ
僕もiwataniさんと同じ
意見です!
復讐です
「傷を癒すとしたら、
復讐が一番いい。でも、
その復讐は、 市民性が
必要な復讐で、打たれた
から打ち返すという、
復讐の仕方ではありません。」
~ 整体的生活術
/ 三枝 誠

CDなら 爆弾の作り方
/ amazarashi

こんな応援しか
出来なくてごめんなさい

simomitu

投稿: 下光博之 | 2010年8月22日 (日) 22時52分

なるほどね、と思いました。ドキュメンタリ
なんか見終わったら、「作品」を見たって気
になりますからね、それと、メディア=糊は
いい発想ですね。

投稿: せいじ しん坊 | 2014年3月19日 (水) 03時20分

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