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2010年6月27日 (日)

即席ラーメン商品開発の迷走

【消費者体験からのマーケティング評論(第2回)】

偉大なる安藤百福氏が晩年に言ってたのは、「スープに浸した麺を油で揚げる、お湯をかけただけで食べられる、それが『即席ラーメン』であり、今主流の(1)麺を揚げない、(2)煮る、(3)スープ別添の『インスタントラーメン』とはまったく別の食品だ」という趣旨のことだったと思う(出典は失念)。

だから、安藤氏が、自分が発明したまったく新しい加工食品を「・・ラーメン」と命名したために、のちのちの大誤解が生じたのだと思う。

のちのちの、安藤氏ほど偉大ではないサラリーマンたちは、ラーメンという既存の食品を、その調理過程等を簡易化短時間化することが、自分たちの追求する商品コンセプトだ、と理解(==誤解)したのだ*。そして、即席ラーメンという今までになかった新しい加工食品ジャンル/技術は、どっかへ消えてしまった。〔*: だから、麺の性質などをいかにして本物のラーメンに近づけるかという、まさに誤解的努力が盛大に行われてきた。〕

誤解に基づいて作られたインスタントラーメンは、今や世界的なビッグ商品だから、今さら文句を言っても痩せ犬の遠吠えにすらならないと思うが、でも、真剣な未来の食品マーケティングテーマとして、安藤氏の≪初源的コンセプト≫は、再び注目する価値があると私は思う。

まず、煮ずにお湯をかけるだけの麺としては、油で揚げてあるほうがそのぶん美味であり、また物理的な食感もソフトになる、食べやすい。

そしてスープ別添でないほうが、食べる側としては作業が楽である。

また、油で揚げる、麺中に空気泡ができるという製法は、同じ3分という時間に対して、麺の太さの多様化を可能とする。

さらに、麺に練り込む小麦粉以外の原料も、多様化が可能である。たとえば、蛋白質を十分に補給できる麺や、野菜の風味のある麺なども作れるだろう。

そしてさらに、成形して揚げるという製法では、副材料(具)と麺の一体成形が可能なはずだ(具は準備的加工が必要かもしれないが)。今のインスタントラーメンでは、フリーズドライに依存しているため、具が貧弱さを脱することができない。

というわけで、栄養バランスが良く、味も良く、具も豊富で、食べて体が満足するのは、今のインスタントラーメンではなく、「安藤百福即席ラーメン」の進化形ではないだろうか? 客が納得する内容であれば、今のインスタントラーメンよりやや高めになってもかまわない。

そして、その成功形が世界的に普及したあかつきには、安藤百福氏の偉大さが、今の百倍ぐらい、燦然と輝くのではないか。しかし生前の安藤百福氏は、どこでどう、あまり偉大ではないサラリーマン氏たちに押し切られてしまったのだろう? 当時の、技術的限界のせいか?

このブログをもしも、食品業界にかたが見ていたら、安藤コンセプトの復活と進化を、ぜひ前向きに検討していただきたい。インスタント食品も、そろそろ、新しいレベルアップ製品群が出てきてもいいころではないだろうか。

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コメント

何でも岩谷さんに賛成
する訳ではないのです

僕もインスタント麺を
求める際は、いっぱい
種類はあれど結局封を
あけてお湯を注ぐだけ
の物を選んでしまいま
す。
そういうのを食べる時
って、てっとり早く、
の時なのでスープを袋
から等の作業があると
興醒めなのです。
食べた後の袋が複数あ
るのも余計ミジメな気
になります。
そんな状況でなければ
ちゃんとつくるんだか

商品開発の方
ここにもひとつ
ニーズがあります。

simomitu

投稿: 下光博之 | 2010年6月28日 (月) 02時12分

> 食べた後の袋が複数あ
> るのも余計ミジメな気
> になります。
そうそう!。いい表現ですな。今のインスタントラーメン企業は、こういう気持ちを理解すべきだよ。

投稿: iwatani | 2010年6月28日 (月) 19時47分

どっちの方を向いているか?という問題だと思う。
安藤氏は消費者の方を向いていたが、そのフォロワー達は自分たちの内部の方を向いて仕事に取り組んだと言うことでしょう。

これ、企業家だけでなくいわゆる表現者達にも言えることだなあ。

投稿: 南 | 2010年6月29日 (火) 07時12分

南さま
向いている方向の違い
というのは
そうか!
と思ったので、
嬉しくって
コメントつけて
しまいます。
サンキュ です

simomitu

投稿: 下光博之 | 2010年6月29日 (火) 21時09分

bridge vol.64 を
読んでいたら
奥田民生さんが
ロックをあえて食べ物
にたとえると
カップヌードル
とこたえてました

付け加えておきます

simomitu

投稿: 下光博之 | 2010年7月21日 (水) 13時13分

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