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2010年6月23日 (水)

他者忘却(続)

前編では、人類のこれまでの思想("自然科学"、宗教、共同体伝統などを含む最広義の)には、そのプライマリな要素として「他者」が欠落している、と書いた。

この欠落ないし完璧な忘却は、自己意識の欠落とパラレルである。

これまでの思想が前提する世界像は、anonymousでnobodyな、ばくぜんとした普遍的一者の眼前に開ける、したがって抽象的な世界である。それは、現実に存在する世界ではない。なぜなら、nobodyな普遍的一者というものは、どこにも存在しないからだ。

現実の世界は、そのベースは、自己というものの絶対的なユニーク性(唯一無二性)、自己というものの絶対的な孤独である。自己は、他己と、絶対的に隔絶している。その隔絶の認識が、自己のユニーク性や絶対的孤独の自覚、すなわち自己意識を導く。

またその隔絶の認識は同時に、コミュニケーションという問題意識をも導く。

これまでの何十万年、ヒトの意識は共同体の生活に埋没していて、「自己」として意識される機会がなかった。そして、あらゆる世界は共同体の世界像の要素であるので、共同体の文化要素や生活要素であり、「他者」ではない*。すなわち、共同体には自己がなく、したがって他者もない。したがってまた、共同体においては、コミュニケーションが問題意識となることもない。

(そこで、他者関係は戦争とトレードの無限ループとなる。)

*: nobodyでanonymousな普遍的一者としての世界像は、共同体のもつこのようなtaken for grantedに全包括的な==他者不在、他者無視の世界像に起源を持つ。他者不在の全包括的な世界像==失礼千万無礼千万な世界像==復讐する他者を招く世界像。

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見よ、初夏の草原の上を、この春生まれの小雀たちが舞い飛ぶ。
おそろしいことに、これらの一羽一羽が、それぞれ、立派に!
「自己」として、その自己の宇宙として、絶対的に隔絶しているのだ。
それぞれが、ものすごく遠い遠い、深い深い、孤独な宇宙を持っている。
自己の不思議、その神秘、そのおそろしさを共有知とするところから、
はじめて、
コミュニケーション有能化への第一歩を踏み出せるだろう。
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コメント

他者意識のない私には自己意識もない。
普段、自己だと思っているこの意識は単なる時間認識に過ぎない(?)。

自分はまだ自分の人生を生きていない(???)。

投稿: 南 | 2010年6月23日 (水) 11時22分

この話題はブログを読む
動機の大きな部分を占め
ているのですが、
コミュニケーション能力
低いなぁと自分で思う
高めたいと思う末でも
あります。

今のところは、
他人と違うのは
当たり前 だから
たまたま似てたり同じ
だったら、喜びあいたい
のスタンスです

昨年暮れに読んだ
石飛道子さんの本
によると、
他者のためにと考えて
行動するだけで
論理にしたがっている
ことになる、とか

またもや的外れかも
知れませんが、
それを想起しました

simomitu

投稿: 下光博之 | 2010年6月24日 (木) 08時31分

人間は脳の力を使いこなせていないという話があるけど、他者がいる事自体が非ポップ人には、面倒くさくて、我慢できないのだろうか。まあとっくにポップな自己?は僕の場合殺されてしまったんだけど。

投稿: bad | 2010年6月25日 (金) 22時22分

badさんも
ザ・ポップ宣言の読者
なのかな、と思いました
僕は今でも読む事が
あります
やっとふにおちることも
あったりして・・・
重く付着してくる諸々を
ブルブルっとして
少しでも近づきたい
ものです

simomitu

投稿: 下光博之 | 2010年6月29日 (火) 21時00分

『スピリチュアリズム/苫米地英人』p.160にある、「アート」と「機能」の話は、『ポップ宣言』で扱われていたテーマと関係しているのではないかと思いました。他者の目を気にして、売れる売れないを評価基準とした時、アートは死ぬ、ということが書かれています。表現には、メッセージという「機能」が付属しますが、その「機能」が、他者の目、あるいは他者の欲望、あるいはさらに、他者の欲望を欲望するという無限ループに陥った時、「私」と「機能」の立場が逆転し、私が「機能」の奉仕者となってしまうというような内容が書かれています。そしてこれは、無限に不安を生んでいく構造なのだとも。

投稿: 最期の奴隷 | 2010年7月19日 (月) 17時12分

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