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2009年5月26日 (火)

トレード至上幻想

一般的な「トレード強迫」については08年12月31日の記事で書いたけど、関連して、政治家、教育者、官僚、住民と接する行政官、マスメディアなどの「上位的作為者」が持つ『トレード至上幻想』についても触れておくべきである。

たとえばマスメディアは、トヨタの売上や利益が減ったことをさも大事件のように報じる。トレードはにぎわうときもあれば、それほどでもないときもある、という淡々とした常識/良識を彼らは持っていない。真の問題は、トレード強迫〜トレード至上主義が支配する世の中では、トレードの規模がすぼんだだけで(すぼむこと自体は正常な現象の一つ!)、生きていけない人びとが発生してしまうことだ。

それに、巨大自動車メーカーの売上が無限に右肩上がりで伸びていったら、どうなるの? 電気自動車なんて、温暖化問題の発生箇所を、単に、個々の車のエンジンから発電所に移転してるだけのはず。

失業率の高騰や就職難(労働力と呼ばれる商品のトレードの規模の縮退*)についても、上位的作為者たちには「騒ぐでない!」と申し上げたい。(*:何度も言うが、トレードの規模の拡大や縮退は、お天気の変化と同じく、まったく正常なふつうの現象である。騒ぐべきことではない。むしろ、雇用をめぐる真の問題は(以下略))

トレード強迫と、それを重症化するトレード至上幻想が、人類社会のあらゆる悲惨の根因であり、もちろん、そのculminationとしての戦争の原因である。トレードを、今のような絶対唯一のmainの位置から、あってもなくてもよいone of sub(s)の位置へと相対化しなければならない。

オバマ氏は東ドイツの収容所跡に詣でたが、彼も含め、未だに世界全体が、ユダヤ人差別(等)へと重症化していく衆愚の真因に目覚めていない。…このテーマは「コミュニケーション有能への進化」で何度も何度も触れてきたことだ。

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2009年5月23日 (土)

腐壊していくマスメディア

私には外国人に日本語を教える機会が日常的にないが、もしあったら困るなーと思う文例に出くわした。某全国紙より:

〜〜が〜〜た事件で、警視庁は21日夜、同教授研究室の学生だった20代の会社員の男について、殺人容疑で逮捕した。

こういう日本語って、もとからあるのかしらん?。ふつうの日本語である「〜〜の男を、殺人容疑で逮捕した」と、「〜〜の男について、殺人容疑で逮捕した」の、意味やニュアンスの違いはなんやねん?。(後者には、なにかとてもいやらしいものを感じるのだが、うまく説明できないし、私の勝手な思いこみかもしれない。)

※: 090613: TBS TVの早朝のニュースが「〜この少年について、再逮捕した」という原稿を読んでいた。これはどうやら、警察が発表文の中で使う定型フレーズかな?

話変わって、某全国放送の裁判員制度に関するアンケート調査の選択回答項目の中に、こんなのがある:

自分には正しい判断ができる自信がない。

おいおい、裁判員は「正しい判断」を求められてるわけじゃないでしょ。「正しい判断」は、プロの裁判官にすら、いや、神様にすらできない。すべてが、相対性と対話性と関係性の中にある…という真実を人の目から覆い隠す、この某全国放送のような視点は。そして日本人をますます、(伝統的な)、対話性コミュニケーション性の遅れ/非活発性という状態に放置し固定する。

余談: アメリカでは、自動車に次いで新聞の“救済”が議会で真剣に検討されている。つまり、いよいよ、マスメディアはやばい、滅びの寸前である、ということだ。元気活発な多方向的な…日常的で相互互角な…対話性を欠いたものが大きくなって長く居座ると、腐壊していくのも当たり前か。[上院公聴会関連記事(1)][関連記事(2)

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